三寒四温と早春賦

立春も過ぎたこの頃になると、自然と思い出す歌があります。
「春は名のみの 風の寒さや」
という歌詞で始まる、日本の歌曲「早春賦」です。
春は名のみの 風の寒さや
谷の鶯 歌は思えど
時にあらずと 声も立てず
時にあらずと 声も立てず
氷解け去り 葦は角ぐむ
さては時ぞと 思うあやにく
今日もきのうも雪の空
今日もきのうも雪の空
春と聞かねば 知らでありしを
聞けば急かるる 胸の思いを
いかにせよとの この頃か
いかにせよとの この頃か
春とは名ばかりで、谷の鶯も「まだその時ではない」と鳴かずに身を縮めてしまうような風の寒さ。
氷が解け、葦も芽吹いてきたので、もうそろそろ春が来るのではないかと思ったのに、今日もきのうも雪が降っている。
春と聞かなければ、気にせずにいられたものを、聞いてしまったがゆえに急かされるこの気持ちを、どうすればよいのか…。
文語体の表現で、少し取っつきにくい印象はありますが、よく味わってみると、三寒四温と言われるこの季節に、誰もが抱くであろう気持ちが、「まさに」と思える言葉で描かれています。
急いた気持ちに合わせて、ついうっかり薄着をして体調を崩してしまったり、春が待ち遠しすぎて、すっきりしない天気にがっかりしてしまったり…。
心も身体も、ペースをつかみにくい季節なのだと感じます。
けれど、この行きつ戻りつの時間こそが、春へ向かう大切な道のりなのかもしれません。
焦らず、自然のリズムに身を委ねながら、静かに春の訪れを待ちたいものです。
