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霜の朝

Shinya

霜の朝/霜柱/冬野菜/カウンセリングオフィスフロローグのコラム

 12月になり、陽が昇る前の冷え込みがいっそう深まりました。朝、畑を通りかかると、うっすらと霜が降りている光景に出会うことが増えます。霜に覆われた畑は静かで、野菜や草、土までもが細かな結晶に照らされて輝き、まるで一夜で生まれた冬の作品のようです。短い時間で姿を変える景色は、冬の厳しさと静かな美しさの両方を伝えてくれます。

 霜は野菜にとって厳しい一面もありますが、必ずしも悪い影響ばかりではありません。大根や白菜、ほうれん草のような冬野菜は、冷え込みから身を守ろうとして糖分をため、甘みを増します。「霜にあたると野菜はおいしくなる」という言葉は、季節の知恵として今も受け継がれています。

 しかし近年は暖冬で霜があまり見られず、冬野菜の甘みが十分にのらなかったり、生育のリズムが乱れたりもするといわれます。また、本来なら寒さで弱まる病害虫が活動を続けてしまう場合もあり、気候変動の影響は畑の姿や旬の味にも及んでいます。

 一方で、霜は弱い苗やデリケートな葉物を傷め、枯らしてしまうこともあります。そのため、霜よけのシートや土寄せなど、細かな管理が冬の畑には欠かせません。こうした工夫が、寒さの厳しい季節の作物を支えています。

 寒さの中で甘みを増す野菜のように、人もまた厳しさの中で育つ力があります。霜よけが野菜を守るように、誰かのさりげない支えが心を温めてくれることもありますし、逆に、守りのない状態では心が枯れてしまうこともあります。つらい季節を過ごすとき、カウンセリングがその支えのひとつになれればと思います。

 冬野菜を味わうこれからの季節、自然の力と、野菜を育てる人々の手の温かさにも思いを寄せたいものです。

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